生体組織を静止したものとするとらえ方が、従来の鍼灸を含め、多くの手技治療法に共通した見方でした。しかし、律動法では、生体組織のすべてに動きが存在することを発見してきました。生体は、心臓が動き、血液が循環し、横隔膜運動に伴う身体の呼吸運動のみならず、からだ全体が海の中のようにある部位は律動運動を行い、ある部位は流れ、深海の水にも動きがある如く、様々な動きを見せています。その変化を確実にとらえることにより、律動法が人体の疾患、そして疲労した組織のすべてを回復させる確信を得ることができたのです。この生体組織の微細運動現象全体を指して律動現象と名づけました。その微細運動も組織が大きくなると、律動運動と表現するのが一番近い動きと言えるからです。脊椎、仙骨、頭蓋骨においては種々な動きの中で、明らかに律動運動現象が最も顕著な動きとなっています。そして腰椎5番(L5)の律動現象をしっかりとらえ、その動きの変調を術者の鎮り澄んだ微細なエネルギーの手助けにより、病み、変調を起こしたL5の律動運動が、温和な力強いエネルギーを取り戻すのです。そしてこのL5の均衡のとれた律動運動の回復が呼び水のように、全身の骨格系の律動運動が正常となり、仙骨、頭蓋骨の律動運動も正常化し、脳、脊髄、筋肉系、内臓系、全身の軟部組織の微細な種々の動きが円滑、均衡がとれた動きを取り戻し、生体全体がくまなく回復を見せるのです。